この記事のポイント
ラスタタイルの作成は GDAL を使用することで実現できますが、実際には座標系の確認や NoData の扱い、複数画像の結合など、前処理の整理が極めて重要です。室木直樹「マップタイル作成マニュアル(第1.0版)」を参考に、その手順をもとに流れを整理し、GUIツールとして運用しやすくまとめました。
要点サマリ
ラスタタイル作成では、「入力 TIFF の座標系確認」「GeoTIFF 化」「複数画像の結合」「NoData の整理」「透過情報の付与」「再投影」「XYZ タイル生成」までを一連で考える必要があります。
今回は、参考マニュアルの手順をもとにGDAL ベースの処理フローを整理し、その内容を GUI ツールとしてまとめました。コマンドを毎回手で構築することなく、設定確認から実行、結果確認までを段階的に追跡しやすくした点が今回の要です。
用語解説
- ラスタタイル:画像をズームレベルごとに細かいタイルへ分割し、Web 地図上で表示しやすくした形式。
- XYZタイル:Web地図でよく使われるタイル形式で、ズーム値 z、横方向 x、縦方向 y の組み合わせで画像を管理する。
- 再投影:地図データの座標系を別の座標系へ変換すること。Web 地図向けに扱いやすい座標系へそろえる際に行う。
- GDAL:地理空間データを変換・加工・確認するためのオープンソースライブラリおよびツール群。ラスタやベクタの変換、再投影、タイル作成などで広く使われる。
- QGIS:地図や GIS データを表示・編集・解析できるオープンソースの GIS ソフト。GDAL などの関連ツールとあわせて使われることが多い。
- GeoTIFF:座標情報を持ったTIFF。GISやGDALで扱いやすいラスタ形式。
- NoData:データが存在しない領域を示す値。RGB画像では白、ラスタ値では-9999などで扱うことがある。
- アルファバンド:透過情報を持つ追加バンド。背景を透明にする場合に使われる。
- gdalbuildvrt:複数のラスタを仮想的に結合する GDAL コマンド。
- gdal2tiles:ラスタを XYZ などの地図タイルへ変換する GDAL ツール。
- VRT:Virtual Raster の略。複数のラスタを仮想的に1つにまとめて扱う仕組み。元データを直接結合せずに参照できる。
- OSGeo4W Shell:Windows 上で GDAL などの GIS ツールを使いやすくする実行環境。QGIS と一緒に利用されることがある。
ラスタタイル作成では、どこを先に整理すべきか?
ラスタタイル作成が複雑になる理由として、画像分割前の整理作業の多さが挙げられます。特に複数メッシュをまとめて配信したい場合、座標系、欠損値、透過、結合範囲を統一させなければ、見た目や処理結果にばらつきが生じやすくなります。
解説
参考マニュアルでも、タイル化の前に「貸与データの確認」「tif から GeoTIFF への変換」「複数画像の結合」「必要範囲でのクリップ」といった準備工程が整理されています。さらに 、RGB ラスタでは NoData を白(255,255,255)に統一し、必要に応じてアルファバンドを付ける流れが紹介されています。
こうした前処理を省くと、背景色が残ったり、タイル化時の結果が不安定になったりするため、最終段階の gdal2tiles よりも、前段階の整理作業が実は重要な鍵となります。

参考マニュアルの手順は、どのような流れになっているのか?
基本の流れは、「GeoTIFF 化」「NoData の整理」「必要に応じた透過設定」「仮想ラスタの作成」「再投影」「タイル生成」です。GDAL コマンド単位で見ると、GUI 化しやすいまとまりになっています。
解説
参考マニュアルでは、まず gdalwarp による GeoTIFF 化や切り出しを行い、その後 RGB 画像では NoData を白へ統一し、必要に応じて -dstalpha を使って透過情報を持たせています。複数画像は gdalbuildvrt でまとめ、最後に gdal2tiles.py で XYZ タイルへ変換する流れです。
処理自体はシンプルですが、入力条件によってオプションが増えるため、コマンドのみの運用では確認項目が膨大になります。そこで、「流れを崩さずに GUI で扱いやすくしたい」というのが今回の出発点でした。

GDAL の手順を GUI ツールにまとめると、何が変わるのか?
GUI ツール化のねらいは、頻出する設定や手順を整理し、実行条件を確認しやすくすることです。毎回の実行条件を画面上で確認できるようにすることで、繰り返し運用が容易になります。
解説
コマンドラインでの処理は柔軟性に優れる一方で、入力パス、ズームレベル、NoData 値、出力形式、前処理条件などを毎回確認する必要があります。特に複数ファイルをまとめて扱う場合は、わずかな設定差が結果に影響することもあります。
そこで、参考マニュアルの手順をベースに、頻出する設定項目を GUI 上に整理し、解析結果、推奨設定、実行ログ、変換サマリをまとめて確認できるようにしました。これにより、コマンド構文を記憶していなくても手順を追跡しやすく、実行後に「どのような条件で変換したか」を見返しやすくなります。

GUI ツール化すると、実務ではどこが扱いやすくなるのか?
扱いやすくなるのは、設定の見通し、再実行のしやすさ、結果確認のしやすさです。タイル作成そのものは GDAL が担っていても、実際に使いやすい形へ整えることには大きな意味があります。
解説
今回の GUI ツールでは、入力設定、変換条件、解析、ログ、変換サマリを画面上で追跡できるようにしました。これにより、作業前に「どの設定で動かすか」を確認しやすくなり、実行後も「どのコマンドが使われたか」「どういう手順だったか」を見返しやすくなります。
ラスタタイル作成は一度の実行で完結ではなく、範囲や設定を変えて再実行することも多いため、こうした可視化は一見地味ながら、実務上の効果は大きいといえます。処理本体は GDAL ベースであっても、参考マニュアルの流れを土台として操作しやすい形にまとめることで、運用のハードルを下げることができます。

FAQ
Q1:ラスタタイルはQGISだけでも作れますか?
A:作成は可能ですが、複数データの前処理や繰り返し運用を想定する場合、GDALベースで流れを整理した方が管理しやすいです。
参考マニュアルでも、QGIS と OSGeo4W Shell を前提に、GDAL コマンドを組み合わせた作成フローが提示されています。
Q2:GUI ツール化すると、自由度は下がりませんか?
A:すべてのケースに対応することはできませんが、頻出する設定を整理することで、再利用しやすくなるという利点があります。
毎回コマンドを一から構築するよりも、実務で使用する条件を画面上で可視化・確認できる方が、運用効率は高いといえます。
まとめ
本記事では、ラスタタイルの作成方法と、GDAL の手順を GUI ツールとして整理する考え方について解説しました。要点は以下の3つです。
- ラスタタイル作成では、タイル化そのものより前処理の整理が重要になること
- GDAL の処理フローを整理すると、設定や実行条件を見直しやすくなること
- GUI ツール化によって、設定確認、再実行、結果確認を行いやすくなること
まずは、参考マニュアルの処理フローを分解し、繰り返し使う設定から整理してみてください。
参考資料
▼室木直樹「マップタイル作成マニュアル(第1.0版)」
マップタイル作成マニュアル – Forestgeo.info
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