この記事のポイント
- CityGML3.0では屋内モデル区分だったLOD4が廃止され、屋内外共通のLOD0〜LOD3に統合されます。
- 3D都市モデル標準製品仕様書はCityGML2.0の建築物モデルLOD4をLOD4.0/4.1/4.2に細分していますが、この違いは精度ではなく、階段・スロープ等の追加設備を含むかどうかです。
- ただしCityGML3.0側では、壁・床等の躯体をBuildingConstructiveElementという単一クラスで統一的に表現できるようになり、境界面ごとの区分を持たせる必要がなくなります。加えてLOD2は測量由来、LOD3はBIM由来のデータ変換を前提とした定義であるため、LOD4だからといって一律LOD3にマッピングされるわけではなく、元データが測量由来かBIM由来かで対応先が変わります。判定に必要なのは「標準仕様どおりか」に加えて「データの作成方法(測量/BIM)」の確認です。
要点サマリ
CityGML3.0の屋内外統合は、区分の名前が変わっただけの改定ではありません。
3D都市モデル標準製品仕様書では、CityGML2.0の建築物モデルLOD4はLOD4.0/4.1/4.2という3段階に細分されています。ただしこの違いは、壁・部屋・天井面・床面といった共通の骨格部分の精度が上がるという話ではなく、階段・スロープ・昇降設備等の追加設備を含むかどうかという話です。
一方でCityGML3.0側は、Construction moduleが定義するBuildingConstructiveElementという新しい概念により、壁・床などすべての躯体要素を単一のクラスで表現できます。個別の境界面(壁面・床面等)を持たせる必要はありません。加えてテクニカルレポートによれば、LOD2は測量からの作成を前提とした定義、LOD3はBIMデータからの変換を想定した定義です。つまりCityGML2.0側のLOD4データがどちらに対応するかは、細分区分(4.0/4.1/4.2)ではなく、元データが測量由来かBIM由来かによって決まります。
用語解説
- LOD(Level of Detail):都市モデルの詳細度を示す区分。CityGML3.0では屋内外共通でLOD0〜LOD3を使う。
- LOD4.0/4.1/4.2:3D都市モデル標準製品仕様書が定める、CityGML2.0の建築物モデルLOD4の細分区分。壁・部屋・天井面・床面は共通で、階段・スロープ・昇降設備等の追加設備を含むかどうかで区分される。
- BuildingConstructiveElement:CityGML3.0のConstruction moduleが導入する新しい概念。壁・床など躯体を構成する要素を、個別の境界面クラスに分けずに単一のクラスで統一的に表現できる。
- 部屋(Room):3D都市モデル標準製品仕様書では「建築確認申請上部屋として区分されている空間」と定義される。
CityGML2.0のLOD4の細分区分
CityGML2.0のLOD4は「屋内モデルの有無」を示す単一の区分ではありません。3D都市モデル標準製品仕様書の中で、含む地物の範囲によって3段階に分かれています。
- LOD4.0:部屋・天井面・内壁面・床面のみ。階段・スロープ・昇降設備等は含まない
- LOD4.1:LOD4.0に加え、階段・スロープ・昇降設備を含む
- LOD4.2:さらに範囲が広がる
標準仕様が原則採用するのはLOD4.0であり、4.1・4.2はユースケース次第の任意採用です。重要なのは、この3段階の違いが壁・部屋・床の精度差ではなく、追加設備を含むかどうかの違いだという点です。

CityGML3.0側の変化:LOD再編とモジュール構造
判定の話に入る前に、変換先であるCityGML3.0側で何が変わったのかを整理します。
CityGML3.0は、都市モデルの国際標準データ形式であるCityGMLの最新版です。屋内モデルを独立区分(LOD4)として持っていたCityGML2.0の構造をやめ、屋内外を共通のLOD0〜LOD3という4段階で表現する構造に再編しました。冒頭で述べたとおり、これが「屋内外LOD統合」の中身です。
もう一つの変化が、地物をモジュールという単位に分けて定義する構造になったことです。壁・床・部屋といった建物の躯体を扱うのは、この中の「Construction module」です。CityGML2.0では壁面・床面・天井面をそれぞれWallSurfaceやFloorSurfaceといった個別の境界面クラスとして持つ必要がありましたが、Construction moduleが導入したBuildingConstructiveElementという新しい地物クラスを使えば、これらの躯体要素を境界面ごとに分けず、単一のクラスでまとめて表現できます。
この2つの変化によって、クラス構造は単純化された一方でLODの対応先は画一的に決められなくなりました。壁・床・天井を個別クラスに振り分ける作業が不要になりBuildingConstructiveElementという単一クラスにまとめられる一方、対応先のLOD番号はサブレベル(4.0/4.1/4.2)ではなくデータが測量由来かBIM由来かで変わるため、「LOD4のデータは一律LOD◯番」という単純な番号の付け替えでは済みません(詳しくは次の見出しで扱います)。

変換時のLOD対応判定の考え方
ここからは、変換プログラムでCityGML2.0のLOD4データをCityGML3.0のどのLODに対応させるかという判定の考え方を扱います。全棟を目視で確認する方法は、工数が過大になるためです。
判定の軸は2つあり、どちらもデータの中身だけでは分からず、外部の記録(メタデータ・納品時の仕様書)を確認する必要があります。
軸1:標準仕様どおりに作られたか、ユースケース都合の特殊仕様(簡略化・抽象化)が入っているか。
ユースケースの都合で、屋内の一部または全部が標準仕様より簡略化・抽象化されているデータもあり得ます。この場合は骨格部分の精度自体が標準と異なるため、一律対応ができません。
軸2:データが測量由来かBIM由来か。
CityGML 3.0 技術仕様調査レポートによれば、CityGML3.0のLOD2は測量からの作成を前提とした定義、LOD3はBIMデータからの変換を想定した定義です。そのモデルの原典データが何かを確認することによって、LOD2、LOD3のどちらにすべきかを判定することができると言えます。
標準仕様どおりのサブレベル(4.0/4.1/4.2)の違い自体は、壁・部屋・床という骨格部分の精度差ではなく追加設備の有無の違いにとどまるため、変換対応を左右する要因にはなりにくいと考えます。変換プログラムは地物の意味タグ(bldg:Room、bldg:FloorSurface等)単位で処理を書く設計になり、タグの有無に反応して動くのであって、「このデータはLOD4.0/4.1/4.2のどれか」というラベルを先に判定してから動くわけではないためです。LOD4.0/4.1/4.2という呼び名は、含まれるタグの組み合わせを後から分類しただけのものです。一方で、測量由来かBIM由来かという軸は、そのタグの組み合わせとは別に確認が必要な情報であり、サブレベルの判定だけでは代替できません。

測量由来はLOD2側、BIM由来はLOD3側という方向性は、技術仕様調査レポートのLOD2・LOD3の定義から読み取れます。ただし、現時点ではあくまで仕様案であり、2026年度に仕様検証、2027年度に試験運用という計画を経たCityGML3.0の仕様確定を待つ必要があります。
出典:G空間情報センター PLATEAU最新情報 ~CityGML3.0への移行に向けて~
FAQ
Q1:原典データが測量由来かBIM由来かは、具体的に何を見て確認すればよいですか。
A:3D都市モデル標準製品仕様書は「原典資料リスト」というメタデータの提出を求めており、その中のsourceNameという項目に、原典として使用した資料の名称(例:航空写真)を記述する運用になっています。測量・BIM・点群といった区分を選ばせる専用の項目ではなく自由記述ですが、原典データの種別を記録する仕組み自体は標準仕様に組み込まれているため、まずこの原典資料リストを確認するのが基本です。
出典:3D都市モデル標準製品仕様書 8.5.1 原典資料リストの記載項目
Q2:1つの建物の中に測量由来の部分とBIM由来の部分が混在するデータの場合はどう判定すればよいですか。
A:原典資料リストは資料単位で記載する仕組みであるため、建物1棟をひとまとめにして測量由来かBIM由来かを判定するのではなく、原典資料が複数記載されている場合はそれぞれがどの部位に対応するのかを確認したうえで、部位単位でLOD2側かLOD3側かを判定する必要があると考えます。
まとめ
CityGML3.0の屋内外LOD統合は、区分の名前が変わっただけの改定ではありません。
3D都市モデル標準製品仕様書におけるCityGML2.0のLOD4のLOD4.0/4.1/4.2という細分は、共通の骨格部分の精度差ではなく、追加設備を含むかどうかの違いです。この違いだけを見れば、変換対応はサブレベルを気にせず決められそうに見えます。
しかしCityGML3.0側は、BuildingConstructiveElementという新しい概念で躯体を単一クラスに統一できるうえ、LOD2は測量由来、LOD3はBIM由来のデータ変換を前提とした定義になっています。そのため実際の判定には、標準仕様どおりかどうかに加え、データが測量由来かBIM由来かという軸を確認する必要があります。人による確認作業をなくすのではなく、「標準仕様どおりか、特殊仕様が入っているか」「測量由来かBIM由来か」という2つの軸に絞り込む、という考え方です。
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